小児がんと向きあう方々とともに…
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「いのち」を考える ~その1~
2008年07月22日 (火) | 編集 |
今日は、7月15日に行われた医学部1年生の
PBLチュートリアル発表会のことを、書きたいと思います。

えっ?チュートリアルって?
お笑い芸人のことではありませんよ

7~8年前から学生教育に取り入れられた少人数学習法で、
グループに一人の指導の教官(チューター)がつき、
週にまる1日をかけて課題にそって調査と討論を進めていきます。
一つのテーマについて2~3つの課題があり、
それぞれに1日をかけます。

課題が与えられると、どのような方向で調べていくか
などの意見を出し合ったあと、個人で調べ、グループで
話し合い、結論を導きます。

その課題の作成に、私は昨年携わりました。

私に与えられたテーマは「人の死」です。

大変重たいテーマですが、私には思い入れがありました。

身近な死を経験したことがない若者がたくさんいます。
病気を治すために医師になりたい。
と、志すけれど、どんなに頑張っても

「生まれたものは必ずいつかは死を迎える」

という現実がある限り、医師自身が涙を流し、
自分の無力さを悔いる機会は少なくありません。

でも、その結果というものは、私たちは神様ではない
のだから、仕方ないこともあります。

要するに、悔いなく、できることをどれだけ頑張ったか、
心を尽くしたかということだと思うのです。

そこに到達するのに、私は何年もかかりました。

医師になって、自分の無力さに悩み苦しんで、自分を見失う、
ということがないように、学生のうちに自分自身の死生観を
持つ機会を与えたい、心ある医師を育てたい。
と思っていました。

ビッグママやリーダーN、そして今年しろ~くんにも参加してもらった 
新入生のオリエンテーションも、その目的の一つとしてはじめたものでした。

とはいっても、この課題を作るのには、悩みに悩んで、苦しみました。

そして、

1.祖父の死の場面
2.子どもの死とその後
3.生命の環

についての課題を作りました。

学生たちに渡す課題のシートとともに、
チューターガイドという20ページほどの資料も作りました。

開始前に、チューター(指導教官)会議というところで、
課題の説明をするのですが、昨年は、調べることが
難しいこの内容に、厳しい意見がどんどん出て、
私は泣きそうになったくらいでした。

しかし、実際に行い、終了した後には、
チューターからも学生からも高い評価を受けることができました。

そして、初めての試みとして、昨年に引き続き今年もと、
2年連続の採用となったのでした。

昨年の分をそのまま使わせてもらいました。

今年の開始前のチューター会議でも、結構厳しい意見が出されました。
終了後にチューターからもらった意見の中にも厳しいものがありました。
学生の反応は、果たして…。

そして、7月15日の発表会を迎えました。
前期にあった4つのテーマの中から
各グループがそれぞれ1つを選び、発表を行います。

全部で16グループある中、6つのグループが、
「人の死」を選択してくれました。

若い、20歳前後の、身近な死を経験したことのない人が
ほとんどという状況で、いろんな本を読み、先輩医師の話を聞き、
ホスピスや緩和ケア病棟を訪問したりして、一生懸命に、
「死ぬこと、生きること」を考えてくれていました。

この頃コメントをくれているTOM-TOMくんの
グループもその一つでした。

彼は、春の新入生オリエンテーションのあと、
メールをくれたりしていたのですが、この
発表会の前に、話を聞きたい、と連絡がありました。

グループみんなで訪ねてきてくれて、いろいろな話をしました。

私自身、可愛がっている子どもが次々に亡くなっていく中、
顔を上げて歩くことができない日々がありました。

辛くて、苦しくて。

何度逃げ出したい、辞めたい。と思ったことか。
(特に、私が若かった頃は、まだまだ治らない時代でした)

そんな時にはいつも、頑張っている子どもたち、お母さんたちが助けてくれたこと。
私は神様ではないのだから、すべての命を救うことはできないけれど、
自分にできることは、すべて行うように努力すること。

亡くなった子どもたちは多くのことを遺し、教えてくれたこと。
そして「(一生懸命に生きた末に訪れる)死は敗北ではない」と
言い切れるようになったこと。


私は、これらのことを、実際の現場で学んだのだけれど、
学生のうちにこの準備をしてもらいたい、という思いから、
このテーマで課題を作ったこと。
(この課題作成者が私であることを知らずに訪問した彼らは、
ビ~ックリしていました)


発表会当日、私は教務課からの案内で、課題作成者として、
「人の死」を選んでくれた6つのグループの発表を聞きに行きました。

10分間のpower pointを用いた発表と、5分間の質疑応答。

身近な死を経験したことのない若者たちが、
こんなにたくさんのことを調べたり考えたり、
話し合ったりして学んでくれたんだ~。

どの発表も、とても、すばらしく、感動的でした。

中でも、TOM-TOMくんたちのグループの発表はすごかったです。

みんなで2日間徹夜をして~。と、聞いていましたが、
私が話したことの何十倍も、勉強し、考え、
悩んでくれたのがよくわかりました。

そして、発表の仕方もとても上手でした。
大変感動しました。

その場でも何度もコメントをしたのですが、
こちらの方が、みなさんに感謝!でいっぱいでした。
1年生の学年担任のY教授のご配慮もうれしかったです。

発表会が終わったあとの夕方、
TOM-TOMくんが、グランプリの賞状を持って、
笑顔で病棟を訪ねてくれました。

全体の評価で、見事優勝したそうです。
努力が実って本当によかったね。
「おめでとう!」そして「ありがとう!」

「心ある医師を育てたい。」
私の思いを、後輩たちがしっかり受け取ってくれたようです。
周りの気温に負けないほど、心が熱くなりました。

みんなで「いのち」を考える、良い機会になりました。
あの発表会に参加していた人は、
決して自分で命を絶ったりはしないだろう。
と確信することができたのもうれしかったです。

これからも、このような機会を増やしていくように、
頑張っていきたいと思います。

7月15日には、丁度 しろ~くんが
「悲しくてやりきれない」
という命を考える記事を書いてくれていて、
最初はそれにコメントする形でと、
思ったのですが、ずいぶん遅くなったし、
長くなったので、記事にしてもらいました。

長文を最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。




投稿 : I 先生(ボス)
編集 : しろ~
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コメント
この記事へのコメント
ボスへ
忙しい中を、投稿ありがとうございました。
昨日、この記事を一度公開したのですが、OKAっPIKIくんの誕生日のことがあったので引っ込めたんです。

学生さんたちの学ぶ姿に、これからの心こもった医療を期待しています。
TOMーTOMくん、グランプリおめでとう!
2008/07/22(火) 17:57:24 | URL | しろ~ #-[ 編集]
I先生の記事を読んで…
I先生の記事を見て
胸が熱くなりました。

日々のお仕事共に
自分の後に続く人たちを
導き、育てようとされてることに
感謝します。

きっと
I先生は
大上段に構えて
されてるつもりはないと
思います。


子どもたちとの
出会いの中で
突き動かされるものが
あるからではないでしょうか…

I先生を見ていて
そう感じます。

しんみりしたところで…

しろ~さんへ
 やっぱり私早口ですか?
 OKAっPIKIくんの
 落ち着いたしゃべり方に対して
 速いと書いたつもりが…

 しろ~さん、早口だな~
 負けてるな~と思っていたのにv-12

 それから、smiledaysの
Tくんからv-5
ありましたか?
 投稿は断られたので
管理人のしろ~さんに
「○○に参加したよ。」だけ
送ってくれるといっていた
(無理矢理言わせたv-355
のですが…

Tくん、昨日も
よく働いてくれましたv-344
ありがとうv-353
2008/07/22(火) 20:08:21 | URL | step by step #-[ 編集]
はじめまして
しろ~さんへv-222
これからも頑張ってくださいi-282i-234
2008/07/22(火) 23:23:16 | URL | ダイスケ #-[ 編集]
ダイちゃんやん!
ダイちゃんありがとー!また、遊びにきてね。
2008/07/22(火) 23:25:55 | URL | しろ~ #-[ 編集]
やっぱり
ラッキーだったんだなぁ~と、
先生の記事を読んで、改めて思いました。

私達患者・当事者、そして家族のことを、
こんなに想ってくれて、行動で示してくださるドクターって、
実は少数派だったことを知って驚いたのは、
10年前のスマムンキャンプでのことでした。

あの時は、スマイル デイズのメンバー同士、
「うちらって、恵まれとったとねぇ」と顔を見合わせ、
ボスの背中をしみじみと眺めたものでした。
(もちろん今も思ってますよv-392

治療中、
「これを食べてがんが治った人がいる」
「これを食べた○○さんのアトピーが劇的に治った」などなど、
健康食品を持ってくる人が何人かいて、
それを「体に良い物だから・・・」と私に勧める母の気持ちも無碍にも出来ず、
一時期食べていたことがありました。

でも、増えていく健康食品の種類にたまりかね、

「これで治療が上手くいけば、勧めた人達は
健康食品のお陰だとか言うっちゃろうねe-262

・・・ふざけんな!白血病をなめんでよ!

何の為に こげなきつか治療に耐えとると思うと?
こげんなもん(健康食品)で治ったっち言われたら、
一生懸命勉強しとんしゃる先生や、
きつか仕事ばニコニコしとんしゃる看護婦さんに
申し訳なか!
もう健康食品は飲まん!v-412

と、母に断言できたのは、
やはり当時の私なりに、医療チームへの信頼感があったからだとおもいますし、
もちろん信頼させてくれるスタッフだったからだと思ってます。

どんなに健康に気を配った生活を送ろうが、人間、
病気になる時ゃ 病気になるし、
年をとれば、体も老いるし、
死ぬ時ゃ、(どんなに若くて健康だろうが)死ぬもんだ。

ということを、仏教を通して 聞かされていたのもあったけど・・・

医療スタッフの皆さんが、信頼できる人でなかったら、
当時の私から、あの言葉は出なかったと思います。

お忙しいお仕事のかたわらで、心あるドクターを、育ててくださっている Iせんせい。
本当に、ただただ、頭が下がるばかりです。

Iせんせいと出遇えた事、Iせんせいの患者である事を思わず感謝したのも、
もう数え切れませんが、
この記事が私の中で、新たにカウントされたのは間違いないですねv-398


2008/07/23(水) 01:10:56 | URL | てけてけmt. #-[ 編集]
てけてけmtさんへ
生老病死の話にアツイてけてけmtさん、今夜もありがとう。

仏教に説いていわく、
「個人が、自分の持っている智慧(知識)、力(能力)で、
自分の目の前にいる悩み苦しむ人を救いたいと思って、
手を差し伸べる振る舞いの人を“菩薩”という」
と聞いたことがあります。

医療者も、私たち経験者も、
立場や経験は違うけど、
目の前にいる人から

不安を拭ってあげたい。

楽しませてあげたい。

自分の宿命に振り回される
のではなく、生きる糧に
してほしい。

と願う想いと、行動はまさしく

“菩薩”

の振る舞いではないでしょうか。

ボスの半分は優しさでできています。
(某鎮痛剤のパクリです)
あとの半分は…。

コワいので言いません(笑)

ボス、ごめんね~。











2008/07/23(水) 01:39:32 | URL | しろ〜 #-[ 編集]
お~!ありがとう!!
てけてけさん。
 
なんだか、私のほうが励まされたようです。
ありがとう!!


しろ~くん。

えっ、なんだって?!
私の半分が、何だって?!

ところで、禁煙グッズはそろいましたか?
ほんとに、よろしくたのみますよ~!!

2008/07/23(水) 01:55:08 | URL | Iせんせい #-[ 編集]
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